契約書の様式について

契約書の「様式」を行政書士が徹底解説!押さえておきたい8つの重要ポイント
目次
こんにちは!東松山市の結行政書士事務所です。
前回の記事では、契約書がビジネスのトラブル防止にいかに大切かをお伝えしました。今回は、さらに一歩踏み込んで、契約書を構成する具体的な「様式」の要素について、重要な8つのポイントを分かりやすく解説します。
契約書の「様式」を形作る8つの重要ポイント
ここからは、契約書を構成する具体的な要素について、一つずつ詳しく見ていきましょう。
1. 契約書の題名
契約書の一番上に記載されるのが題名です。「売買契約書」「業務委託契約書」「秘密保持契約書」など、その契約がどのような内容であるかを一目で示す役割があります。題名自体に法的な効力はありませんが、内容を正確に表すことで、契約の目的や種類を明確にし、後の誤解を防ぐことができます。
2. 契約書の前文
前文は、契約書の冒頭部分に置かれ、契約に至る背景や目的、当事者の確認など、契約全体の趣旨を説明する導入部分です。例えば、「〇〇株式会社(以下「甲」という。)と株式会社△△(以下「乙」という。)は、甲が乙に対し、甲のウェブサイト制作業務を委託することに関し、以下のとおり業務委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。」といった形で記載されます。
前文は、本文のように具体的な権利義務を定めるものではありませんが、契約書全体の解釈の指針となります。万が一、契約条項に曖昧な点があったり、予期せぬ事態が発生したりした場合に、前文に記載された契約の背景や目的が、問題解決のヒントとなることがあります。契約の意図が明確になり、当事者間の認識のズレを防ぐためにも、重要な部分です。
3. 契約書の日付
契約書に記載される日付は、その契約がいつ成立したかを示す非常に重要な情報です。通常は、契約当事者全員が合意し、署名・捺印した日を記載します。この日付は、契約の効力発生時期や、契約期間の起算点となるため、間違いがないように正確に記載しましょう。
4. 契約書の当事者の表示
契約書の当事者を正確に表示することは、契約の効力を誰に対して主張できるかを明確にするために不可欠です。当事者を特定するために個人であれば氏名と住所、法人であれば正式名称、所在地、代表者の役職名と氏名を記載します。これにより、「誰と誰の間の契約なのか」をはっきりさせ、将来的なトラブルを避けることができます。
5. 契約書の本文(内容)
契約書の中心となるのが本文です。ここでは、契約の目的、当事者間の権利義務、取引の内容、支払い条件、期間、解除条件、損害賠償に関する事項など、契約に関する全ての具体的な取り決めを詳細かつ明確に記載します。曖昧な表現は避け、具体的な数字や期限を明記することが重要です。あらゆる可能性を想定し、網羅的に記載するように心がけましょう。
6. 契約書の原本の数
契約書の原本の数は、通常、契約当事者の数に合わせて作成します。例えば、A社とB社の2社間で契約を締結する場合、それぞれが原本を1部ずつ保管するのが一般的です。各当事者が自社の押印済みの原本を保管することで、万が一のトラブルの際に、契約内容を証明する確実な証拠となります。また、収入印紙の負担を軽減するために当事者の一方が原本、もう片方が写しを所持することも可能です。その場合、原本が紛失した際は契約の内容が後に証明できないリスクがあることに注意が必要です。
7. 収入印紙を貼る理由と負担
一部の契約書には、収入印紙を貼る必要があります。これは、印紙税法に基づき、特定の文書(課税文書)を作成した際に課される税金(印紙税)を納めるためです。契約書が経済的な取引の証拠となるため、印紙税の対象となる場合があります。印紙税の対象なのに貼らなかった場合は本来納付すべき税額に加えて、さらにその倍額の過怠税が課せられます。なお、電子契約の場合は書面が作成されないため印紙税は課税されません。
収入印紙の負担については、特に法律で定められているわけではありませんが、一般的には、契約当事者が折半するか、どちらか一方が負担する形で合意します。慣例として、契約書を作成した側が負担することが多いですが、契約書に明記することで当事者間の合意を明確にすることが望ましいです。
8. 署名と記名の違い
契約書には、当事者の署名または記名が必要です。
- 署名:本人が自筆で氏名を書くことです。法律上、本人の意思表示を強く示すものとされ、証拠能力が高いとされています。
- 記名:ゴム印や印刷、他者による代筆などで氏名を表示することです。記名だけでは本人の意思表示が曖昧になる可能性があるため、通常は記名に加えて押印をすることで、証拠能力を高めます。
ここでいう押印とは印鑑を押すことを意味し、指に朱肉をつけて押す拇印は含まれません。
まとめ:契約書の「様式」を理解し、安心なビジネスを築こう!
契約書の様式を構成するこれらの要素を正しく理解し、適切な内容で作成することは、あなたのビジネスをあらゆるリスクから守るための第一歩です。
「この書き方で大丈夫かな?」「うちのビジネスにはどんな記載が必要?」など、少しでも不安を感じたら、迷わず専門家にご相談ください。
東松山市の結行政書士事務所が、あなたのビジネスに最適な契約書を作成し、安心して事業を進めるためのお手伝いをさせていただきます。どうぞお気軽にご連絡ください。