建設業許可の落とし穴!「欠格要件」に該当しないことの重要性

こんにちは!埼玉県東松山市の結行政書士事務所です。

建設業許可の取得を考えている事業者様は、「経営業務の管理責任者」「専任技術者」「社会保険加入」「財産的基礎」といった具体的な要件に注目しがちですよね。しかし、これらすべての要件を満たしていても、たった一つの「欠格要件」に該当してしまうと、残念ながら許可はおりません。

「欠格要件って何?」「もし該当したらどうなるの?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。この「欠格要件」は、建設業を営む者としてふさわしくない行為や状況を指し、許可審査において非常に厳しくチェックされる項目なんです。

今回は、この建設業許可における「欠格要件」について、行政書士の視点から分かりやすく、そして詳しく解説していきます。あなたの会社や関係者がこの要件に該当しないか、一緒に確認していきましょう。

欠格要件とは?なぜ建設業許可に必要なの?

「欠格要件」とは、建設業を営む上で許可を与えるべきではないと判断される特定の状況や過去の行為を指します。これは、建設業法第8条に詳しく規定されています。

建設業法第8条(許可の基準) 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可をしようとするときは、次の各号のいずれかに該当しないことを確認しなければならない。 (中略) 十 次のいずれかに該当する者(第十五条第二号イ若しくはロに該当する者又は同条第四号に該当する者を除く。)が役員等である法人又は政令で定める使用人がある者

建設業は、公共の安全や国民生活に密接に関わる事業です。そのため、法令を遵守せず、不誠実な行為や違法な活動を行う者が許可を取得してしまうと、発注者や社会に大きな損害を与えるリスクがあります。欠格要件は、このような不適格な事業者の参入を防ぎ、業界全体の信頼性と健全性を維持するために設けられています。

もし欠格要件に該当する人が一人でもいる場合、たとえ他のすべての要件を満たしていても、許可は絶対に下りません。それほど重要な要件なんです。

具体的に何が「欠格要件」に当たるの?

欠格要件には様々な項目がありますが、特に注意すべき主な内容は以下の通りです。

1. 過去の法令違反による処分

許可を申請する法人や個人事業主、その役員、法定代理人、政令で定める使用人(支配人や支店長など)が、以下のいずれかの状況にある場合、欠格要件に該当します。

  • 建設業法に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
    • 例:無許可営業、一括下請負の禁止違反などによる罰則。
  • 建設業法、建築基準法、都市計画法、景観法、宅地造成等規制法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律などに違反し、罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
    • 建設業法以外の法律でも、建設事業に密接に関連する法律の違反は欠格要件になります。
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
    • 業務上横領、詐欺などの一般的な犯罪も対象です。

2. 破産手続きの開始決定を受けていること

破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者は、欠格要件に該当します。 これは、破産状態では事業を継続する上で適切な財産的基礎がないと判断されるためです。

3. 許可の取り消し処分を受けていること

過去に建設業の許可を取り消され、その取り消しの日から5年を経過しない者は、欠格要件に該当します。 これは、過去に重大な法令違反や不正行為によって許可を取り消された経緯がある場合、再度許可を与えることは不適当であると判断されるためです。

4. 暴力団関係者であること

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者、および暴力団員等が事業活動を支配する者も欠格要件に該当します。 反社会的勢力との関わりは、建設業界の健全性を損なうため、厳しく排除されます。

5. 精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者

精神的な健康状態が原因で、適切な経営判断や業務遂行が困難と判断される場合も、欠格要件に該当する可能性があります。

欠格要件に関するよくある疑問・注意点

Q1. 役員の一人が過去に刑罰を受けていますが、他の役員は問題ありません。許可は取れますか?

A. 残念ながら、法人(会社)の役員、法定代理人、または政令で定める使用人の中に一人でも欠格要件に該当する方がいる場合、その法人(会社)は建設業許可を取得できません。 特定の個人の問題が、会社全体の許可に影響を及ぼします。

Q2. 過去の違反が非常に軽微なものだったのですが、それでも対象になりますか?

A. 罰金以上の刑に処せられている場合は、軽重にかかわらず対象となります。ただし、行政処分(例えば、単なる指導など)であれば、欠格要件には該当しないことが多いです。判断に迷う場合は、専門家にご相談ください。

Q3. 税金の滞納も欠格要件に当たりますか?

A. 直接的に建設業法上の「欠格要件」には規定されていませんが、多くの自治体や審査機関では、「誠実性」の要件(法第7条第3号)の一部として、税金等の滞納がないことを求めます。税金の滞納は、企業の信頼性を損なう行為とみなされるため、許可取得には大きな障害となります。

Q4. 家族経営の会社ですが、家族全員が審査対象になるのでしょうか?

A. 役員(取締役など)や、支配人・支店長などの実質的な経営責任者、または法定代理人(未成年者の場合など)が主な審査対象です。すべての家族が審査対象になるわけではありませんが、該当する役割の方は注意が必要です。

まとめ:欠格要件の確認は許可申請の第一歩!

「欠格要件に該当しないこと」は、建設業許可を取得するための、最も基本的な、そして絶対にクリアしなければならない要件です。過去の経歴や現在の状況が、知らず知らずのうちに欠格要件に該当してしまうケースも少なくありません。

もしご自身や会社の役員、その他関係者に心当たりのある場合は、「どうせ無理だろう」と諦める前に、まずは専門家にご相談ください。状況を正確に把握し、法的に問題がないことを確認するか、あるいは適切な対応策を検討することが、許可取得への第一歩となります。

東松山市の結行政書士事務所では、お客様の状況を丁寧にヒアリングし、欠格要件に該当しないかどうかの確認、および今後の手続きに関する具体的なアドバイスをさせていただきます。

信頼される建設業者として、許可取得への道を一緒に進みましょう!

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