建設業許可の重要要件!「財産的基礎」を徹底解説

こんにちは!埼玉県東松山市の結行政書士事務所です。
建設業許可を取得するには、技術力や経営経験だけでなく、事業を安定して継続するための「財産的基礎」も重要な要件となります。これは、会社の経営状況が健全であるかどうかを判断する、非常に大切なポイントです。
「財産的基礎って具体的にいくら必要なの?」「会社の財務状況が良くないけど許可は取れる?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、この「財産的基礎」の要件について、行政書士の視点から分かりやすく、そして詳しく解説していきます。あなたの会社がこの要件を満たせるのか、一緒に確認していきましょう。
財産的基礎とは?なぜ建設業許可に必要なの?
目次
「財産的基礎」とは、簡単に言うと「事業を安定して運営し、請け負った工事を最後まで完成させられるだけの資金力があること」を意味します。
この要件は、建設業法第7条第4号(一般建設業の場合)および建設業法第15条第4号(特定建設業の場合)に規定されています。
建設業法第7条第4号(一般建設業の許可) イ 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。
建設業の許可は、企業としての信頼性だけでなく、財務的な健全性も問われます。もし請け負った工事が資金繰りの悪化で中断された場合、発注者や下請け業者に多大な損害を与えてしまうからです。財産的基礎の要件は、このようなリスクを未然に防ぎ、業界の信頼性を保つために設けられています。
あなたの会社は要件を満たせる?具体的な財産的基礎の要件
財産的基礎の要件は、取得を目指す許可の種類(一般建設業か特定建設業か)によって大きく異なります。
1. 一般建設業許可の財産的基礎
一般建設業の許可を取得する場合、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 自己資本(純資産)が500万円以上であること
- 500万円以上の資金調達能力があること
- 許可申請直前の5年間、継続して建設業を営んでいること(この場合は上記を満たす必要なし)
自己資本(純資産)とは?
自己資本は、貸借対照表の「純資産の部」の金額を指します。会社の資産から負債を差し引いた、返済不要な固有の資本です。
500万円以上の資金調達能力とは?
以下のいずれかで証明します。
- 預金残高証明書: 許可申請時に、金融機関の500万円以上の預金残高証明書を提出します。
- 融資証明書: 金融機関からの500万円以上の融資証明書(または融資可能であることの証明書)を提出します。
ポイント:
- 自己資本が500万円未満でも、500万円の資金調達能力を証明できれば、一般建設業の要件は満たせます。
- ただし、自己資本がマイナス(債務超過)の場合は、原則として許可は認められません。
2. 特定建設業許可の財産的基礎
特定建設業の許可は、大規模な工事や下請け業者との契約を多く行うため、一般建設業よりもはるかに厳しい財産的基礎の要件が課されます。
建設業法第15条第4号の規定に基づき、以下のすべての要件を満たす必要があります。
- 欠損の額(資本金、準備金、積立金の合計額から損失を控除した額)が、資本金の額の20%を超えないこと。
- 流動比率が75%以上であること。
- 資本金の額が2,000万円以上であること。
- 自己資本(純資産)の額が4,000万円以上であること。
ポイント:
- 流動比率は、企業の短期的な支払い能力を示す指標で、「流動資産 ÷ 流動負債 × 100」で計算します。特定建設業では、短期的な資金繰りの安定性が求められます。
- これらの要件は、直前の決算書(貸借対照表)に基づいて審査されます。
財産的基礎の証明方法
財産的基礎を証明するために、以下の書類の提出が求められます。
- 直前の確定申告書および財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)
- 預金残高証明書(一般建設業で資金調達能力を証明する場合)
- 融資証明書(一般建設業で資金調達能力を証明する場合)
「財産的基礎」に関するよくある疑問・注意点
Q1. 会社を設立したばかりで、まだ実績がないけど大丈夫?
A. はい、大丈夫です。新規設立の法人の場合、資本金が自己資本となります。資本金が500万円以上あれば、一般建設業の財産的基礎の要件を満たします。500万円未満の場合は、預金残高証明書などで500万円以上の資金調達能力を証明する必要があります。
Q2. 会社の自己資本がマイナス(債務超過)だけど、預金残高で補えますか?
A. 一般建設業の場合、自己資本がマイナス(債務超過)であると、原則として許可は認められません。債務超過を解消し、財産的基礎を健全な状態に戻す必要があります。
Q3. 特定建設業で要件を満たせない場合、どうすればいい?
A. 特定建設業の要件は厳しいため、満たせない場合は、まずは一般建設業の許可を取得することを検討するのが一般的です。一般建設業の許可を取得し、事業を拡大しながら財務基盤を強化し、将来的に特定建設業に移行するのが現実的な選択肢です。
まとめ:財産的基礎のクリアで、建設業許可への道を拓く!
「財産的基礎」の要件は、単に資金があることだけでなく、事業の安定性や継続性を保証するための重要な指標です。特に特定建設業では、財務状況が厳しく問われます。
会社の財務状況が複雑であったり、どの要件を満たせるか不安な場合は、迷わず専門家にご相談ください。東松山市の結行政書士事務所では、お客様の決算状況を丁寧に分析し、財産的基礎の要件クリアに向けた最適なアドバイスと、複雑な申請手続きのサポートをさせていただきます。
信頼される建設業者として、許可取得への第一歩を一緒に踏み出しましょう!